~今年最大の天王山?!~
このタイミングを、数ヶ月前から狙っていた。吹奏楽コンクールが終わったら即出発し、翌日に休暇を取って釣りに行く。それが何とか実現した。
今年の前半戦はことのほか調子が悪く、5月の枕崎のマダイ以外はほとんど魚すら釣れない状態が続いた。私ごときの人間がこんな言葉を使っても良いのかどうかわからないが、いわゆる「大スランプ」。このスランプが始まった頃から、コンクール後の釣行についてはすでに計画していたのだ。
7月の初旬に思い余って淀川へキチヌ狙いに行き、なんとか3匹の大物を確保。これが呼び水となり、熊野新鹿でキューセンを2匹釣り上げて久しぶりに大物号数更新。折角調子が上がってきたものの、この頃からコンクールの練習が忙しくなり、土日や連休は練習でつぶれる始末。ただ、この上がり調子を崩したくなかったので、練習終了後に淀川へ行ったりして、キチヌ狙いで調子をキープしておいた。そして、満を持して今回の釣行。
さて、問題は行き先。最初は愛媛や隠岐も視野に入れたが、なにぶん単独釣行。費用をできるだけ抑えて、しかも狙い魚も多岐にわたるとなれば、紀東方面しかない。実はこれも以前から計画済み。しかも、キューセンが釣れると大物号数もUPするわけで、あとは大物ができるだけ釣れるプラン?を考えた結果、以下のようになった。
第1ラウンド 28日半夜・・・・・新宮市王子ヶ浜にてニベ狙い
第2ラウンド 29日日中・・・・・熊野市新鹿にてキューセン狙い
第3ラウンド 29日半夜・・・・・熊野市鬼ヶ城にてシロギス狙い
第4ラウンド 30日未明・・・・・そのまま鬼ヶ城 または 再び王子ヶ浜
かなりの強行軍ではあるが、ここは自分の気持ちを奮い立たせて自分の描いたビジョンを実現するのみ!と心に言い聞かせ、コンクールが終了した28日の午後3時頃自宅を出発。このプランで問題になるのはエサの調達。自宅からのルート上にエサ店はあるものの、質や量にやや難点がある。逆方向の尼崎のエサ店に行くには時間がかかりすぎる。そこで、ルートははずれるが、数店舗に電話をしてみた。
Fエイト・・・・・「マムシは入荷していません。」「・・・・・」
I吉・・・・・「マムシはないですねえ。」「・・・・・」
FM泉大津店・・・・・「マムシ、ありますよ~。」
今回の釣行でのカギはマムシ。キューセンを狙うには絶対に必要なエサだ。マムシさえあれば、あとは何とかなる。そこで出発後、まずは近畿道、泉北道を通ってFM泉大津店へ。少しルートは外れるが仕方ない。
FMでは、マムシを3000円、アオイソメ2000円、ユムシ20匹を購入。これで延べ3日分。少ないように感じられるが、なにぶん費用を抑えるという目的から不安を抱えつつこの量にした。マムシはもちろんキューセン狙い。アオイソメは鬼ヶ城のシロギス狙い。鬼ヶ城ではマムシやチロリは不要。釣れなくはないのだろうが、アオイソメ以外だと、ゴテンアナゴなどの外道率がかなり跳ね上がってしまうのだ。また、シロギス狙いにはアオイソメだけで十分!という持論も証明したくて、アオイソメを購入した。2000円分がなくなれば、半夜釣りは終了ということで、量的にも2000円でOK。ユムシはもちろん、ニベ狙いだ。
その後、再び泉北道、近畿道、南阪奈道を通って、葛城インターから通常ルートに戻った。高速道路はこれだけ。後は一般道だけだ。
第1ラウンド 新宮市王子が浜
道中順調に走行を続け、午後7時過ぎに新宮市王子ヶ浜に到着。実はこの釣り場は今回初めて。他クラブの方が良く好釣果を得ているのを見て、いつかは訪れてみたいと思っていた。道もナビと事前情報のおかげで問題なく、王子ヶ浜横の駐車スペースに車を停めることができた。まだ日が暮れきっていないので、護岸の上から浜がよく見渡せる。先日の台風の影響からか、意外に砂洲が短い。それで、釣り座は先端から少し下がった外向きに構えることにした。ただ、ウネリが高く、河口寄りの方は沖が浅いのか、かなり沖の方から高い波が打ち寄せている。右を見ると、ウネリは高いものの、何とか釣りになりそう。それほどの波だった。あまり期待できないかも?
竿を4本セットして、午後7時半釣り開始。3本はユムシ、1本はキューセン用のマムシを少し拝借して投げた。満潮は午後5時過ぎの大潮。潮は良いが、果たして下げ潮でアタリはあるものかどうか・・・・・
1投目からシロギス。波が竿先を揺らす中、小刻みなアタリが出た。エサはマムシ。
幸先よくシロギスが釣れたが、その後が続かない。本命のニベは姿を見せてくれない。さらに、ウネリの影響で底が返っているのか、上げるたびに仕掛けが絡みつき、藻か枝かわからないものが複雑に絡みついて、釣りにくいことこの上ない。状況が悪いのか、ポイントが悪いのか。こんな日は外向きはあきらめて、川向きで釣ってみるのが良いのか。その後アタリもなく座布団クラスのエイが立て続けに来て(マムシエサ)、少々やる気減退。そこで、この釣り場に精通しておられる、イカプロさんに電話をしてみることにした。
イカプロさん「内向きでキチヌはおそらく釣れるでしょうが、今更川向きでキチヌもないんじゃないですか? 底オモリにしてでも外向きで粘ってみるのが良いのでは? 内向きではSランクのクロダイも狙えるには狙えますが。」」
確かに。キチヌはもういいや、って気持ちでここに来たのだから、今更ここで「クマノール」を服用しても仕方がないのだ。Sランクのクロダイ? もし釣れたら扱いに困ってしまいそう。なお、「クマノール」の名づけ親は、イカプロさん(^^) 最近の「川尻を薬に名前チェンジ」シリーズだ。(笑)
今回の釣行では、このイカプロさんへの電話をきっかけに、イカプロさんにはメールで色々とレクチャーをしていただきながら釣りをすることになった。単独釣行の寂しさが和らぐとともに、釣りをしていてとても安心感があり、イカプロさんには感謝感謝だった。
さて、すでに時間は午後11時を過ぎていて、底オモリにしてでも粘ってみるべきところだが、少しは仮眠をとって明日の大和岩に備えたいので、潔く納竿することにした。気が向いたら明日の夜釣りでもう一度狙ってみよう。
さて、午前1時過ぎに新鹿岸壁に到着して、3時間ほど仮眠。午前4時過ぎに目が覚めて、顔を洗ったり腹ごしらえをしたりして渡船の時間待ち。4時20分頃に、いつもお世話になっている坂本渡船のおにいちゃんが来て色々とお話。震災以降客足がかなり減ったらしく、大変とのこと。事前連絡で、今日は弁当が出ないので持参してください、と言われていた。ここの渡船のお弁当はおいしくてひとつの楽しみだったのに、少し残念。
午前4時40分。お客は私一人という状態で渡船が出発。平日とは言え、なんとなく寂しい限り。
第2ラウンド 三重県熊野市新鹿大和岩
さて、大和岩きっての好ポイント、通称「飛び岩」に行こうとしたが、満潮近くであることと、やはりウネリが少しあるということで、途中波を被っている。どうしよう。行くべきか少し待つべきか。だが、時刻は夜明け。満潮の絶好の時合いなのだ。私は意を決して、膝まで波を被りながら飛び岩に到達することになんとか成功した。
当日の大和岩。少しウネリがあるものの、釣りには支障なさそう。とりあえず3本体制でアタリを待つことにした。
いきなり五目釣りの様相。テンスはおいしいので当然キープ。サイズが小さいなあ、なんて独り言でぼやきながらも、とりあえず魚がいることが確認できたので、気を取り直して投げ返す。すると、すぐに竿先をモニョモニョと動かす妙なアタリが。
出たー! メイチダイのダブル。竿先の動きからして、何となくこれっぽい気がした。魚を臭ってみると、あれ?臭くない。いつものカルキ臭がしない。台風で海が大荒れしたのが原因かも? というわけで、2匹ともキープ。1匹は実寸34センチあったので、帰宅後魚拓をとることにした。あと1匹は31センチ。このメイチダイの後、テンスがもう1匹来たのみで、後はイソベラやオハグロベラなど、招かざる客ばかりになってきた。午前10時を過ぎてあまりのアタリのなさに、奥の手を出すことに決意。そう、例のキャスティズムの引き釣りだ。
ところが、どこに投げても、エサさえ取られない始末。引き釣りもダメ? あきらめ気味に休憩のために置き竿にしたその直後!!いきなり激信が!! 巻き上げ途中の引きからして、キューセンと直感。どきどきしながら巻き上げてみると・・・・・
やった~! 号数UP!! 248号目(^^) 苦労してようやく仕留めたキューセンの姿を見て、ほっと一息。写真申請もできなくはないサイズだったが、念のため帰宅後魚拓にすることに。
(拓寸は26.3センチ)
このキューセンでモチベーションが復活したものの、それ以後はやはりアタリがなく、退屈な状態が続いた。退屈だけなら良いのだが、日差しはジリジリと照りつけるし、朝方涼しかった気温もどんどん上昇して、折角復活したモチベーションも急降下。飲料水もかなり減ってきて、もはやこれまで・・・・と、午後1時に撤収~。まあ、この暑い中、よく頑張ったということで・・・・
陸に上がって、魚を保存用クーラーボックスに入れたり、着替えたりで、もう身体はヘロヘロ? いやいや、まだまだ戦いは続くのだ。気持ちを奮い立たせて、新鹿を出発した。
第3ラウンド 三重県熊野市鬼ヶ城
意外に知られていない、鬼ヶ城の真夏のシロギス。10年ほど前まではそれでも結構有名であったが、最近狙いに行く人がいるのか、と思うほど情報が入ってこない。10年以上も前までは、毎年真夏にシロギスの夜釣りに出かけていて、高確率でランクキスをゲットできていた。28センチ、26センチ、25センチのトリプルゲットはブログにも書かせていただいたほど今でも鮮烈に記憶に残っていて、そんな釣果をもう一度、というわけで鬼ヶ城に行こうと思ったわけだ。ランクが出るかどうかはわからないが、姿くらいは拝めるのでは?
新鹿から移動後、獅子岩の横にある喫茶店で遅い目の昼食。疲れた身体に喫茶店のカレーライスがおいしかったこと。まさに元気100倍の味だった。そして、コンビニで食料調達。早い目に鬼ヶ城遊歩道の入り口に移動して、木陰に車を停めてしばしの仮眠。3時間ほど爆睡。
午後6時前、目が覚めると私の車の前になにわナンバーの車が止まっていた。中に人はいないので、先行されたようだ。私も気合いを入れなおし、準備して出発。疲れた身体に、入り口直後の石段はきついものがある。ヒーハー言いながら石段を登りきり、遊歩道へ。荷物を担いでこの遊歩道を歩くのはまさに業。したたる汗をぬぐいながら、黙々と歩いた。途中、手前に2人の投げ釣りマンの姿が。どうやら、なにわナンバーの釣り人らしい。よく見てみたが知っている人ではなさそうだったので、そのままスルー。目指すは通称「水谷」というポイントだ。このポイントは手前に沢の水が流れているところがあって、タオルを洗ったり、手を洗ったり、バケツの水を汲んだりすることができるので重宝。今回はあまりにも汗をかいたので、頭から水をかぶってまずは涼ををとった。気持ちいい~。
さて、釣り開始!! 鬼ヶ城に限らず、シロギス狙いにはアオイソメオンリーでいけると私は思っている。マムシやチロリだと、外道の標的になるからだ。アオイソメなら外道も比較的少なく、キスが高確率で釣れるのだ。皆さん、鬼ヶ城でキスを狙う場合には、細い目のアオイソメの房掛けに限るということをお忘れなく。
通称「水谷」のポイントで午後7時前釣りスタート。沖に見えるタコツボブイの位置に注意しなければならない。水深は20m前後。この海に、大きなキスが回遊してくるのだ。30センチオーバーも狙えるから侮れない。ただし、波には注意。このときは、満潮から下げの釣りなので安心だが、込み潮のときには思わぬところまで波が駆け上がってくるので、細心の注意が必要。ドドーンと打ち寄せる波には恐怖心を覚えるほどだ。私も今回は単独ということで、とにかく無理をしないように、と自分に言い聞かせて釣りを続ける。
明るい間から、シロギスがアタリを送ってくれた。これは23センチ。この後立て続けに5匹ほど釣れるが、サイズは似たようなもの。サイズが上がってくることを期待して打ち返しを続ける。一度だけドラグが「ジジジ・・・・」と鳴る大型のシロギスっぽいアタリがあったが、ハリに乗らず。エサがクチャクチャにされていたので、おそらくシロギスだろう。ところが、暗くなってからは時折アナゴが釣れるだけで、本命からのアタリはすっかり途絶えてしまった。潮が下がっていく一方だから、込み潮までは期待薄か。あきらめかけていた午後10時頃、ドラグがジャーと鳴るアタリが出た。合わせるとズーンと重い引きが。ここでこんな引きをする魚はエイしかない。私はエイと信じて巻き上げた。取り込みのためにヘッドライトを照らすと、意に反してギラッとメタリックに光る魚体が! え? クロダイ? マダイ?? なんだなんだ??
なんとヘダイ。食べておいしいヘダイはうれしい「外道」だ。この釣り場でヘダイを釣るのは初めて。潮が悪い中、貴重な大物にうれしさがこみ上げてきた。このまま粘ろうか、そう思ったとき、波が足元まで駆け上がってきた。干底のこのタイミングでこの波だと、満潮近くになるとどうなることやら。私は恐怖心を覚え始め、残念ながら場所を替わることにした。安全第一だ。
最後の舞台は、当然あそこ、王子ヶ浜だ。昨日は下げ潮しか釣れなかったので、込み潮をぜひ釣ってみたかった。
ヒーヒー言いながら、元の遊歩道を車まで取って返し、即移動。しかし、計画通りとは言え、ようやるわ~(汗)
第4ラウンド 新宮市王子ヶ浜
夜の熊野街道をひた走る。実は私は、真夜中にこの七里御浜沿いの熊野街道沿いをドライブするのが大好き。通行量が少なく、快適にドライブできるのだ。サザンやチューブの音楽を聴きながらなら、なお最高(^^)
新宮市内に入って、牛丼チェーンの「すき○」があったので、一旦そこで腹ごしらえ。250円の牛丼と130円の豚汁で、占めて380円の夕食。安っ!!
午前0時半過ぎに釣り場入り。今回は、歩く距離を短くしたかったのと、昨日の場所はウネリが高かったので、かなり手前に入ってみた。メインエサをユムシに釣り開始。釣り場に立って気づいたが、このあたりは砂浜になっている。夜明けからキスの引き釣りもできそうなポイントだ。
しばらくはアタリがない時間が続く。ユムシどころか、余ったマムシで投げてもアタリがない。疲れもピークに達していて、午前4時近くになってウトウトしかかっていた。
午前4時前、ようやくドラグを鳴らすアタリが来たと思ったら、鬼ヶ城に続き、またしてもヘダイ。しかも30センチを少し切っている。本来なら放流でも良いが、ヘダイでもあるし持ち帰って魚拓に挑戦することにした。
続けてドラグを鳴らしてくれたのは、ニベ。魚体が美しい個体であったが、これは完全にサイズが足りず、放流することに。
仕掛けにエサを付け替えているときに、三脚がいきなりガシャーンと倒れた。ネジが緩んでいたのが原因?と思いきや、体勢を立て直して竿を手に取ると、思わず魚の引きが・・・・
で、このヘダイ。今回はヘダイづいていますなあ。ニベや他の魚はおらんのかいな~。
と思っていたら、納竿直前にこのキチヌ(^^; おお~、30センチあるやん。ラッキー(^^) なんとなく納得感が漂って、ここでいさぎよく納竿とした。
この釣行の間中メールでお世話になったイカプロさんが、行動力と気力がすごいですね~とおっしゃった。また、矢野さんの今年の釣りの天王山ですね、ともおっしゃった。確かにそんな釣りだった。だが、最近のふがいない自分の釣りがどうしても自分自身でもどかしく、納得できなかったのだ。それで、今回の釣行になった。昔はこんな釣りばかりしてた気がする。それだけ気力がみなぎっていたのかも? 今回の釣行で、そんなイケイケの頃の自分を思い出した気がして、今は心地良い疲れに酔いしれながら釣行記を書いている。釣果は日程の割りには大したことがなかったが、久しぶりに充実した予定通りの釣りができたので満足している。この釣りをきっかけとして、これからもビシバシ大物を釣り上げていこうと決意を新たにしているところである。
今回の主な釣果をまとめておこう。
新鹿大和岩 メイチダイ 35.5センチ(拓寸) キューセン 26.3センチ(拓寸) 大物248号
熊野鬼ヶ城 ヘダイ 34センチ(実寸)
新宮市王子ヶ浜 ヘダイ30.0センチ(拓寸) ヘダイ33センチ(実寸) キチヌ30.0センチ(実寸)
本年通算 大物44匹目 大物号数248号 特別大物号数344号